そのとき俺は宮原にいた。大宮の隣駅。 宇都宮がいる場所はすぐにわかった。これからあいつがどうするかも。 あいつは絶対に北へは行かない。俺の手が届かないところへ逃げ隠れるようなことは、絶対にしない。 捕まえる、と俺は言った。それは宣戦布告だ。きっと宇都宮も気付いてる。 だからあいつは大宮以北には行かない。近い場所にいたからじゃない。わかるんだ、もう。何年一緒にいると思ってる。 捕まえる俺か、逃げ切るあいつか。勝負は大宮から上野までの区間だ。 負けられない。 宣戦布告。 高崎は本気だ。本気で僕を捕まえようとしてる。 怖いだけだろ。ギャラクシー眼鏡に言われてしまった。 そうだよ怖いんだ。言葉にしてしまったらそれはきっと終わりのはじまり。 もう二度と、同じ距離を持っては走れない。もうなんのごまかしもきかない。 最低だ。ごまかしばかりを考える。自分でもそう思う。そんな愚かなやつだよ。 だから好きだなんて言葉で期待させて誘惑しないで。 ずっとずっと、少しずつ近づきながら、大きく変えずにいた 僕たちの距離 それでも僕のことを特別だと思っていてほしいなんて願ってしまうのはどうしようもないんだ。 これは本気の勝負。 知っていると思うけど。僕は負け戦はしない主義だ。 20090728 |